Blog理事長の独り言

⑯誇りと品格

誇りと品格

「ほこり」は育てるもの。「品格」は伝統に培われ、個々人に生まれながらに備わっているもの、ではないかと私は思っている。只いづれも学び・鍛錬し続けていかなければ世間の荒波の中で消えて行ってしまう儚い存在でしかないとも思っている。

四方を海に囲まれ、国土も狭くこれと言った資源もない我々の先人たちは内面を鍛え・磨くことを、この世で最も尊いものとしたのではなかろうか、そしてその集大成が武士道精神=人とは、どうあるべきかを示す行動基準を創り上げてきたのではなかろうかと思う。イギリスも似たような島国であるからこそ騎士道精神が今でも脈々と受け継がれている ケンブリッジ大学では、いまでもディナーを ニュートンの頃と同じ部屋で、同じように黒いマントをまとって、薄暗い中で食べるほど伝統を重んじていると聞いた事がある。 むかし読んだ本に、ひとりの日本人青年がアメリカ大陸横断した時の話としてこう綴っていた ― テキサス州の片田舎で ひとりの年老いた爺さまに出会った青年は訪ねた「アメリカ人は、どういう人ですか?」老人は即座に「アメリカ人とは、儂じゃよ。儂があめりかだ‼」と答えた。― どこから切っても金太郎飴ではないが、自分そのものがアメリカだと誇りを持って生きてきたんだろう。舞台がイギリスやフランスであったとしても同じような台本になるはずだ。 方や日本現状はどうだろう、戦後「欧米かぶれ」の中で、本来受け継いでいかなければならない大切な先人たちの精神・伝統を、消し去ってきたのではなかろうか。今 この日本で「日本人とは?」と、問われて「日本人とは、私を見ればわかる」と、答えられる日本人が果たして何人いるだろうか? ただ、伝統として培い、DNAとして組み込まれたものは、そう簡単に完全には消えてしまわないのも事実で、その片鱗は災害など、事あるごとに姿を現している。

まず教育が大切で…「ほこり」を育むことが出来れば、「品格」は必ず目を覚す。世界が今市場経済に代表される欧米の論理と合理に支配されている中で、矛盾を抱えたままあえいでいる。 今こそ、論理と合理では説明できない、思いやりや、もののあわれといった心を大切にする若者が増えていけば、日本に限らず未来は明るいものになっていく事は間違いないと断言できる‼ ものに支配されない子ども達の台頭が今、まさに待ち望まれている。

随分前になるが、某食品メーカーのコマーシャルに「わんぱくでもいい、逞しく育って欲しい」と云うのがあった。私たちは、その手助けに邁進して行きたい。

⑮日本人の心 1

日本人の心・1

私がハタチの頃だったろうか某ウイスキー・メーカーのコマーシャルに、≪大陸から渡って来る雁は、小枝をくわえて日本海渡り来ると云う。疲れたら小枝を海に浮かべてその上で体を休めたと云う。日本の浜に着くとその小枝を浜に落として飛び立っていく、夏になってやがて故郷へ帰る時自分の落として行った小枝を再びくわえて帰って行く。後には帰れなかった分だけ小枝が残ったんだと云う、浜の漁師はその小枝を集めて帰れなかった雁の供養をしたんだと云う。にっぽん人っていいな~≫と言うのがあった。正確ではないが哀愁漂うナレーションと、尺八の奏でる悲しいメロディーに強い衝撃を受けた記憶が残っている。

この歳になって、あの時のナレーションの深味がほんの少し理解できた気がする。

高卒で、初めての職場に立石さんと言う長身・初老の先輩がいた。窓口業務でいつも背筋を正し、上品でロマンスグレー、私の様な新米にも優しく接してくれた。ある時、ひょんなことから立石さんの過去を知ることが出来た。あるひと曰く「立石さんは職業軍人だったらしい」と、又ある人は「2・26事件の生き残りで、最前線をたらい回しにされた挙げ句、ソ満国境で終戦を迎えたらしい。更に自分が逃げるのに精いっぱいの中で民間人300人ほどを引率して日本に帰って来たらしい」と言っていた。 凄く感動した事を覚えている。人は窮地に 陥った時に本性が出るという。日頃威張り散らしていた関東軍の高級参謀・将校たちは、ソ連が攻めてきたと知るやありったけの軍備品と自分の家族だけを引き連れて早々帰国の途に就いたと言うのに…日本の現官僚たちと関東軍の参謀たちをつい比べてしまう。

人の生き方は様々である、これが正解と云う数学的な回答はない。ただ常々思うことは自分が同じ立場だったら人として「どちら側に立つのか」「どちらの生き方を選ぶのか」との問いかけを続けていく事が大切だと私は思っている。し、子ども達には生きとし生けるもの全てに対して「もののあわれを知り」「優しさ・思いやり」を持つことが人として恥ずかしくない生き方であると…日本人の心であると伝えていきたい。

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